電 波 兵 器


当時の状況
○ 陸海軍とも光学兵器重視により、電波兵器を軽視していた。
技術情報の入手
○昭和15年 独テレフンケン社でウルップルグレーダ完成、小型軽量、操作容易、映像鮮明
○開戦後、フィリピンコレヒドール要塞においてアメリカの電波警戒機を捕獲
○昭和18年6月、ドイツ潜水艦2隻(イタリア)に技師・設計図、本体を分乗させ出発
○昭和18年9月、潜水艦(U−511)日本に到着、技師等日本に到着
 ※ドイツでは、Me262、Bf109等にFu350を、Ju88等にはFuGZYのレーダを装備していた。
 ※Fw190A-6/R11にはFuG216「ネプツーンV」、FuG218「ネプツーンJ-3」等の小型レーダを装備した。
  「ネプツーンV」は周波数125MHz、有効範囲500m〜3500mで、指示器はブラウン管で3本の走査線
 で方向・距離を求める最大感度方式であったため、
高度が判らずすれ違いもあった。
  (当時日本のレーダもドイツに見習って最大感度方式であった。)

電波兵器の開発(陸軍)

○試作 電波警戒機「甲」: 昭和15年 適宜の距離に送信所と受信所配置し、飛行機がその線上に接近
 又は横断した時に生ずる唸なり音によって感知する。

 ※欠点:遠く前方での捕捉が困難
 ※出力の異なる4種類が生産された。それぞれの警戒距離は80・120・200・350km、製造会社は東芝
   日本無線等数社

○電波警戒機「乙」: 昭和16年秋 試作2機完成、甲の欠点を補うため、遠くの目標にパルス(衝撃波)を
 発射し、反射波により敵を発見する。

 ※要地・野戦・船舶用にそれぞれ警戒距離は300km、製造会社は住友通信工業(日電)・東芝電気・岩崎
  であった。

○電波標定機(レーダ等で入手した情報を電波によって転送する装置)
 ※昭和17年10月頃試作機完成、30機程製造、故障が多く製造中止となる。製造会社:住友・東芝
○タキ1:機上電波警戒機(ブラウン管に地物の反射波のエコーが出る。)
○タキ5:電波探索機
○タキ11:電波高度計
○タキ13:電波高度計、高度10m〜400m、精密に対地高度を表示
※陸軍は「タキ1」、「タキ5」を4式重爆機等に装備していた。

電波兵器の開発(海軍)
細部不明だが、概ね陸軍と同様と考える。

○ 19年東海には当初小型電探(レーダ)搭載予定だが、開発が遅れたため、仮称3式1号探知機が装備された。  
○ 月光にはFD−2レーダを装備していた。 


海軍航空機用電探(レーダー)T

名   称 H-6 FM-1 N-6 FM-3 FM-6 FK-3 FD-1 FD-2 玉-3
用   途 電波警戒機(見張用電探) 電波標定機(射撃用電探)
使用目的 大型機用
対艦船
哨戒・索敵
中型機用
対艦船哨戒機
小型機
哨戒機
小型機
哨戒機
小型機
哨戒機
夜間戦闘機
接敵用
完   成 17.8 19.9 19.10 19.6 19.10 20.6 19.8 20.7
実用状況 実戦配備 準備中 実戦配備 実戦配備 試作段階 準備中 運用試験中 準備中
装備予定 大型飛行艇
中型攻撃機
単座攻撃機
水 偵
双発機 単発3座機 単発3座機 単発3座機 単発3座機 夜間戦闘機
雷撃機
夜間戦闘機
装 備 機 2式大艇
1式陸攻22型
銀河11型
月光11型
2式大艇 97式艦攻12型
零式三座水偵11型
彩雲
東海11型 97艦攻
天山
96式陸攻
1式陸攻
月光
銀河(夜戦)
月光
G4M2,
波 長(m) 1.2 1.2 0.5 0.6
尖頭出力(KW) 4.2 2.5
測定方式 最大感度 等感度
空 中 線
アンテネ
送受共用、前方八木、側方 送受別
八木
菱形配置
送受共用
アンテナ及び
タブレット
最大有効範囲 船:100km
飛:70km
飛集団:70km
飛単機:50km
飛集団:70km
飛単機:50km
船:50km
飛:30km
船:70km
飛:50km
船:−
飛:50km
船:10km
飛:3km
飛:4km
最小有効範囲 3km 5km 2.5km 3km 0.6km 0.4〜0.6km
精   度 距離:5%
方向:3度
距離:5%
方向:0.3度
距離:5%
方向:5度
製造会社 日本無線
川西
東芝 日本無線 川西 東芝 日本無線
製造数(台) 2000 20 20 100 100 100 10
重 量(kg) 110 70 60 60 60 60 70 70

海軍航空機用電探(レーダー)U

名   称 61号 62号 63号 M-13 51号 FH-1 FTB FTC
用   途 電波誘導機 味方識別機 電波暗視機 電波高度計 電波探査機 磁気探査機
使用目的 敵高度及び
位置測定用
味方位置
測定用
敵位置遠距
離測定用
一般機 大型電波
暗視機
低高度用
電波高度計
航空機用
電波探知機
対潜用
完   成 20.4 20.6 - 20.6 - 20.2 19.5 19.秋頃
実用状況 準備中 準備中 準備中 未使用 未使用 実戦配備 実戦配備 準備中 実戦配備
装備予定 陸攻 - - 全機種 4発攻撃機 雷撃機 攻撃機
偵察機
-
装 備 機 - - - - - 2式大艇 銀河
1式陸攻
2式大艇
- 東海11型
97式3号艦攻
零式三座水偵11型
キ−94T
波 長(m) 0.6 0.1 0.88 0.4〜3.7 -
尖頭出力(KW) 10 0.05 0.0001 -
測定方式 等感度 最大感度 パノラマ 音響受信
計器受信
-
空中線
アンテネ
-
最大有効範囲 飛:130km 飛:100km 飛:160km 船:100km 飛:20km 0.15 飛:300km -
最小有効範囲 0.6km 2km - - 1.5 - - -
精   度 距離:0.2%
方向:0.3度
距離:0.8%
方向:0.4度
距離:0.5% 距離:5% -
製造会社 東芝 東芝・日蓄 東芝・住友
日本音響
日本無線 東芝 富士通信
三菱電機
-
製造数(台) 100 100 300 100 -
重 量(kg) 15000 3000 8700 10 200 30 20 20 -