左:
この作品は、秦代の下級兵士である槍(戈)兵を再現した。
装備としては旧式(秦代初期頃)と言う設定である。
甲冑は、革を長方形に裁断し、革片を組み合わせ赤紐で綴じている。
装備は銅製の戈で、滑り止めのための革製の紐を巻き付けている。
ベルトに携行しているのは戦利品の銅製短剣である。 |
中:
青銅製の冑、革製の甲、青銅製の剣を装備した秦軍指揮官クラス |
右:
右の槍(戈)兵と同様式の革製の甲冑を装着している弓(弩)兵である。
脚絆は、秦朝以前から兵用として使われていたと考えている。
脚絆は、足下を防護するとともに、防寒効果もある。
藪や林の中を進む場合、ズボンの裾が開いていると害虫や蛇に噛まれやすこなる。
それらの進入を防ぐためズボンの裾を絞るのである。
また、ズボンの裾を絞ることで、保温効果もあり、足下からの冷え防止になる。
戦闘の場合、戈等で足下をはらわれた時の防護処置として、脚絆の中には木や厚革を入れ被害の軽減を図っている。 |
現物がほとんど残っていない古代甲冑を製作する場合、兵士の立場になって考えると当然このような処置は充分に
行われていたと考えるのが妥当であろう。
過酷な状況下での適応能力は現代人よりも進んでいる。
甲冑を作るだけなら誰にでもできる。しかし、このような事まで考えて作製できるのは船津3D工房だけである。
古代甲冑を研究しながらの作製には時間がかかるが、楽しみながらやっている。
考古学者の意見も聞きたいが、それもままならないのが現状である。 |